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2009年10月 9日 (金)

亀井静香の真の狙い

「貸し渋り・貸し剥がし」対策法案(モラトリアム法案)の草案から、鳩山内閣にあって最も分りにくかった亀井静香の本当の狙いがやっと見えて来た。民主党がどこまで新古典派路線と訣別できるのか、踏み絵を踏ませようとしているのだ。812日付ログ「総選挙後のポートフォリオ」で指摘しておいたが、亀井は改めて「新古典派対ケインジアン」という対立軸を鮮明に提起したのである。

http://professor-snape.txt-nifty.com/investors_eye/2009/08/post-66b3.html

本日の報道によると、起案された「貸し渋り・貸し剥がし」対策法はいわゆるモラトリアムとは全く異なり、民間セクターのクレジット・リスクをソブリン化する事を目指しているようだ。具体的には、返済が猶予される債務について信用保証協会の保証が付され、さらに金融検査マニュアルの変更により、貸し手が元利金の返済を猶予した場合でも分類査定しないことにするとの事。そうなればトラバンからリレバンへのシフトが決定的になるだけでなく、それを支える護送船団もまた復活する。これこそが亀井の狙いなのだ。時計の針は日米円ドル委員会以前の時代まで戻され、国際的には一時的にせよ金融鎖国状態が示現する。元警察官僚である亀井は既にそこまで読み切っており、将来の政界再編まで視野に入れて、モザイクのような現政権与党の中でのネオナショナリスト・グループを強く後押ししようとしているのだ。

モラトリアム法案が抱える最大のリスクはモラルハザードだ。米国はビッグ3を実質的に国有化してその信用リスクをソブリンに変えてしまったが、その代わりビッグ3に対して年金や医療保険に関わる給付の大幅な削減までを含むペナルティーを課す事で、モラルハザードに歯止めをかけようとしている。モラトリアム法案が債務者に対して何のペナルティーも課さないのであれば、新銀行東京と同様あっという間にしたたかな民間銀行と債務者にテイクチャンスされて、民間銀行に「優良不良資産」を積み上げられ、政府は腐敗した資産を押し付けられて税金で償却することになりかねない。新銀行東京の二の舞とならないためにも、モラトリアム法案にはモラルハザードを抑止する仕掛けを組み込む事が必須であろう。

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