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2008年1月 2日 (水)

2007年はユーロ元年か

2007年は国際基軸通貨が米ドルからユーロに交代した年として後世に記憶されることになるだろう。

国際基軸通貨はいろいろな意味で使われる概念だが、ここでは(1)ペグ度(公的通貨制度を含めた、他の通貨がペグする度合いの強さ)、(2)使用度(公的通貨制度とは別に、民間セクターにおける国際取引において実際に使われる度合い)という二つの側面に注目して見よう。

(1)ペグ度。ドル・ペグ圏はペグの強さの順に中南米圏、中国圏、中東圏、アセアン圏だ。このうち中南米圏は経済自体が米国と一体化しているためドル・ペグが最も自然である。中国圏は米国自身が対中貿易不均衡を是正するため人民元のドル・ペグを何とか外そうと四苦八苦しているが、中国サイドを追い込め切れていない。また香港ドルは中国の一国二通貨制の下で資本収支通貨を担う位置付けであり、中国がドル・ペグ(カレンシー・ボード)を外さない。つまり中国圏のドル・ペグは専ら中国サイドの都合によるもので、中国がドル離脱を決めた瞬間に崩れる運命にある。アセアン圏は1997年の通貨危機以降ハード・ペグからソフト・ペグに転換してきた。そして2007年、ドル・ペグ圏最後の砦である中東圏に離脱の動きが出た。クウェート、シリアが相次いでドル・ペグを離れたのである。

参照:2007年6月15日「中東のSDRペグとこの夏のポート操作」

http://professor-snape.txt-nifty.com/investors_eye/2007/06/post_bce3.html

さらにIMFによれば、2007年9月末時点で世界の準備通貨に占めるドルの割合は63.8%と、6月末時点の65%から大きく縮小し、1999年の統計開始以来最低となった。こうした諸点を総合的に考えると、将来のドル・ペグ圏は中南米だけになることが明確になって来たようである。

(2)使用度。多くの途上国では民間セクターが合法・違法を問わず事実上のドル本位制を採り、主に不動産・高額耐久財・レントやホテルの室料・風俗産業遊興料などがドル建となっている。ドルに金・貴金属に準じた価値貯蔵機能が認められる為だが、これが崩れ始めたのである。スーパー・モデルのジゼル・ブンチェンが米国P&G社に対し、ヘアケア商品広告出演契約をドル建てからユーロ建てに変更するように要求した。インドの世界遺産であるタージ・マハルが入場料を米ドルからインド・ルピー建てに変更した。中東ではオイル長者が激増しており欧米の高級車が飛ぶように売れているが、その建値はかつてのドルではなく今やユーロだ。民間がドルの価値貯蔵機能に見切りをつけ始めたのだ。しかも「ペグ度」におけるドル離れはペグの対象がドルからSDRなどのバスケットに変わるにすぎないケースが多いが、「使用度」においてはドル離れの受け皿が圧倒的にユーロなのだ。ユーロの価値貯蔵機能がドルを上回っていると民間セクターが判断したことになる。

国際基軸通貨が米ドルからユーロに交代した理由は、循環的な経済問題であるサブ・プライムローンではなく、構造的な米国の国際的信認の低下である。欧州でも日本でも親米政権が退陣を余儀なくされた。最後のドル・ペグ圏である中南米は既に反米政権の下にある。米国内ではマイノリティ層にイスラム化が急速に進行している。かつての円ドル委員会方式が中国には通用しない事もはっきりした。誰も米国の言う通りにはならなくなって来たのだ。米国が求心力を失いパックス・アメリカーナの終焉が見えた2007年、ドルが国際基軸通貨の座を下りたのは当然であった。長期ポートはドル・ショート、ユーロ・ロングが正解である。

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