« 加齢の心理学 | トップページ | 平田篤胤の呪縛 »

2008年1月25日 (金)

均衡回復的裁定と均衡破壊的裁定

 日経平均が下がれば円は売られる筈なのに、最近は逆にドル(対円)と日経平均が連動するように見えるのはなぜなのか、と学生から質問された。それは裁定が均衡破壊的に働いているからだ。

  パニックの起きていない平時の環境では、裁定は均衡回復的に働く。つまり価格が上がりすぎると買う人が減るから価格が下がって需給が均衡するのだ。一方過去のオイルショックの際に見られたように、パニック状態の下では価格が上がるほど人々はさらなる価格上昇を恐れて買い急ぐから、価格上昇がさらなる需要を喚起する為、価格が一段と上昇してゆく。均衡破壊的裁定が働くのだ。日本の経常収支は黒字であり、その分資本収支が赤字であるから、国内の投資家のトータル・ポジションはドル・ロングだ。従って現在のように株式市場がパニックとなり、多くの投資家がリスク量を増やしたくないと考えている場合は、日経平均が下落するほどドル・ロングを取り崩す動きが出る。この動きが続いている限りパニックは去っておらず、株式価格は均衡破壊的下落を続ける。一方投資家がパニックから解放されるとリスク量を増やしてもよいと考えるようになるから、日経平均が下落してもドル・ロングの取り崩しは起らなくなる。これはパニックが去って株式価格が均衡回復過程に入ったことを意味する。

 日本株のPBR(株価純資産倍率)が1に近付いている今、パニックが本当に去って株式価格が均衡回復過程に入ったのかどうかを判断する為には、学生が気付いた「ドルと日経平均との連動」が消失するかどうかを見ていればよいのである。

|

« 加齢の心理学 | トップページ | 平田篤胤の呪縛 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/107417/17833775

この記事へのトラックバック一覧です: 均衡回復的裁定と均衡破壊的裁定:

« 加齢の心理学 | トップページ | 平田篤胤の呪縛 »