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2007年9月21日 (金)

10月からの郵政民営化で何が変わるか

学生諸君の参考に、以下まとめてみました。

200710月から何が変わるのか】

・「民営化」ではなく、「民営化のスタート」のはじまり。民営化完了は10年後。

10月から現在の郵政公社が五つに分れる。

   日本郵政株式会社(持株会社)

   郵便事業株式会社(郵便の配達や切手、葉書の販売など)

   株式会社ゆうちょ銀行(貯金)

   株式会社かんぽ生命保険(保険)

   郵便局株式会社(郵便局。窓口でこれまで通り郵便、貯金、保険を扱う。)

101日になっても現在の郵便局が扱うサービスの内容はほとんど変わらない。

【民営化される現在の郵政公社はどんな会社?】

・全額政府出資の巨大企業。

20073月期決算(連結)では、郵政公社のサイズ(総資産)は350兆。

 (日本の名目GDP500兆円弱)

・その資金の使い方別では、有価証券が250兆(70%強)。そのうち200兆以上が国債。

・資金の集め方別では、350兆のうち200兆が郵便貯金と簡易保険。

・つまり簡単に言うと、貯金と簡保で200兆円を集めて、そっくり国債を買っている。

【そもそも民営化の狙いは?】

「民間に出来ることは民間で」という構造改革の発想。政府の基本方針(閣議決定)は

(1)市場における経営の自由度の拡大を通じて良質・多様なサービスを安い料金で。

(2)郵政公社に対する「見えない国民負担」を削り、資源を国民経済的な観点から活用。
(3)
公的部門に流れていた資金を民間部門に。国民の貯蓄を経済の活性化につなげる。

【本当にそうなるのか?】

まだわからない。今後の民営化のスケジュールは、

・現在は政府が100%株主だが、持ち株会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命が2010年度の上場を目指す。

・それ以外の具体的なサービス内容の変更はまだこれからの話。住宅ローンの地方銀行との提携などを模索しているが、あまり進んでいない。今後10年間で固める。

【ユーザーとしては今後何に注意するべき?】

10月からはとりあえず貯金の非課税限度や簡保の窓口での入院費などの「即時払い」の見直し、委任状つきでの国債購入が一部の郵便局ではできなくなる、など。いずれもお年寄りや病人、身体障害者に影響が出ることに注意。

・それ以外の点では、まだこれから決める部分がほとんどなので、ユーザーも具体的な不満や希望をどんどん発言してゆくことが大切。具体的に法令が出るときには官庁のHPで意見を募集するので、だれでも意見を述べることができる。

【郵政民営化の今後の枠組み作りの上での問題点は?】

・貯金・保険の商品多角化を進め、利益優先で運営すると、社会的弱者やデジタル機器に弱い高齢者の切捨てにならないか?今は貯金も保険も限度1000万円で、手続きも簡単。リスクを限定して利便性を優先しているわけで、一概に非効率な制度とは言えない。

・銀行なら企業への融資を通じて産業に貢献するのが当然だが、今は有価証券ばかり買っている。無理やり郵貯資金を国債や地方債、財投機関債の購入から開放すると、審査能力不足のまま貸付残高目標を追求する結果、新銀行東京のように不良債権の山を築くだけでなく、政府の財政コストも急上昇するのではないか?

・資金の流用や横領が目立つ社会保険庁よりも、そうした問題がほとんど聞かれない郵政公社を先に民営化するのは順番が逆ではないか?また勤労者のための労働金庫、農業者のためのJAはそのままで、一般国民、特に格差社会で出遅れた人たちが安心して利用できる金融機関をなくしていいのか?

・「民間に出来ることは民間で」は良いが、民間でやるには適していないことまで民営化してはいけない。そこを良くわきまえて進めるべき。

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