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2007年2月28日 (水)

上海ショックが地球を一周

 2月28日の東京では、日経平均先物がいきなり前日比-4.1%(750円安)の17,360円で寄付いた。パニックの震源は前日(27日)の上海だ。27日の主要株式市場の動きを時系列の順に追ってみると、

上海総合指数(SSEC):-8.8%(2,771)
ダウ欧州50:-2.6%(3,731)
NYダウ:-3.3%(12,216)

と、上海ショックが津波のように世界を一周して28日朝の東京に到達したのだということがわかる。では上海で何が起ったのか。ほとんどの報道機関は、違法な株取引や投機的に過ぎる株取引に対する、全人代を控えた中国当局の規制強化をクラッシュの原因として挙げているが、2月27日にFTが配信したロイター記事"Chinese stocks post biggest fall in decade"のコメントはちょっと違う。

 現地のディーラーに取材して書かれたこの記事によると、27日の上海クラッシュは特定の要因によるものというよりも、自律的な調整のようだ。同記事によるとSSECは昨年130%、今年に入ってからも既に14%上昇し、前日の26日には史上初めて3,000台に乗せたところから、とりあえずの目標達成感が出たファンドが利益確定及び3月に支払う配当金手当てのために売った、とのこと。そうであれば27日の上海ショックは過大評価修正の正常な一過程にすぎず、同記事も下値のメドは2月の安値である2,541、というコメントまで紹介しているほどだ。

 また、各主要市場で株から債券へのシフトが起きており、27日のベンチマーク(10年物)の利回りはブンズが3.96%(-0.03%)、TNが4.51%(-0.12%)と急低下。28日のJGBのランダウン(前場終値、利回り)を見ると、何と4年で既に1%フラット、10年は1.61%と、ゼロ金利解除(第一次利上げ)直前の水準近くまで買戻されている。オーソドックスなEquityとFixed Incomeとのトレード・オフが世界中で復活しているわけで、この面からも今回の上海ショックが市場正常化の一過程であることが確認できる。ポート操作は、通貨を問わずFixed Incomeを利食ってEquityの買い場をじっくり探すべきだろう。利食った債券の買い直しなら、為替(ユーロ)次第では上述の通り対TNスプレッドが通常時(1%内外)の半分になったブンズを視野に入れたいところだ。

 だが、今回の上海ショックの世界一周は、別の意味で重要だ。上海ショックが発生した27日、同一時間帯にオープンしていた東京市場は何の反応も示さなかったのだ。上海ショックが24時間をかけて欧州、米国と地球を一周し、アジアに戻ってきてはじめて東京がパニックに見舞われ、前場ではこれまで上値を追ってきた不動産株やJ-Reitがクラッシュし、24時間前の上海のコピーをそっくり演じたのである。このことは、アジアにおける資本市場の中心が既に東京から上海へと交代してしまったことを意味している。ACUのようなアジア共通通貨のバスケットは、円ではなく人民元をコアにして設計しなければならない時代が既に到来しているのだ。

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2007年2月24日 (土)

市場正常化の過程で負け組が退場して行く

市場が右肩上がりのバブリー期には誰が何をやっても儲かる。戦後の高度成長期や1980年代後半のバブル期、「脱デフレ」を先取りした2005年の株式市場、これからの「中国」などがその典型だ。バブリー期には競争力が乏しい企業や商品でも存続できるが、次の調整サイクルがやってくると優勝劣敗ルールによる淘汰が進み、マージナルな負け組が退場して行くことによって市場の正常化が進む。今はちょうどこの時期に入っており、「銘柄選別」が時代のキーワードだ。

・同族経営の大企業。西武・そごう級のメガ同族企業の解体処理が終り、今はもう少し小規模な著名同族企業が淘汰過程に入った。F家(洋菓子)や家電大手のS電機だ。S電機は連結決算制度が導入される以前、不良在庫を内外子会社に積み上げているとの噂が絶えなかった。

・NC証券。連結決算制度をマニピュレートした決算ドレッシングが発覚し、大手外資のCグループに身売りするようだ。ところがCグループ自体も、貸金業金利のグレーゾーン規制強化のため日本から一挙に撤退を決めた「負け組」なのだ。

・サブプライム住宅ローン債。米国住宅バブルの落とし子だ。だが元々マージナルな商品として設計されており、リスクとリターンの関係がわかりやすいため、住宅市場が巡航速度へ軟着陸する一過程として淘汰を歓迎する空気が強い。

こう見て行くと、いすれもプアな実力を隠蔽してきたドレッシングが剥がれて退場を迫られるというパターンが共通だ。次はどこなのか?それをいち早く見極めることが、「果報を寝て待つ」ポートのメンテナンスにとって極めて重要だと痛感している。

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2007年2月22日 (木)

もう出尽した利上げ効果

間もなく社会人3年目に入るCマのC嬢から、一体いつまで更新をサボるつもりなのか、利上げもあったというのにいい加減にしろ!とゲキが飛んで来たので、早速反省して今日の動きをコメントすることにした。だが、昨日(2月21日)日銀が2回目の利上げを発表したあとの今日の市場の反応はあまりにもセオリー通りで拍子抜けだ。

・JGBは短期債と2年までが売られたが、5年以降は長期ほど買いもどされてイールドカーブがフラット化。市場はコアインフレ率が依然低位にとどまると見ている証拠だ。ベンチマークの対TN、対ブンズのイールド格差にも著変なく、裁定環境は不変。

2007年2月22日のJGBのイールドカーブ(東京終値)と前日比(%,Bloomberg)

2年 0.82(0.016)
3年 0.92(-0.004)
5年 1.21(-0.011)
7年 1.42(-0.03)
10年 1.67(-0.029)
15年 1.91(-0.053)
20年 2.1(-0.051)
30年 2.34(-0.05)

・株はアク抜けで続伸。特に不動産株と外部負債のない企業が急騰。これも絵に描いたようなオーソドックスな反応だ。

・為替は円独歩安に回帰。六カ国協議合意を市場は信用していないことが改めて明白になった。

ということで、寝ているだけで果報がどんどん入って来る今のポートは、まだまだこのままで行けそうである。

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