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2006年6月19日 (月)

福井日銀総裁はゼロ金利政策解除と株価下落との関係を知っていたのか

 償還期限がない国債(=永久債、Perpetual Bond)を購入すると毎年必ずD円の利子を受取ることができるものとする。 市場利子率(年率)をrとすると、この永久債の価格(P)は将来受取ることができる利子全部の現在価値の合計であるから、無限等比級数の和を計算すると

P=D/r

となる。例えば市場利子率(年率)が将来とも1%である時、毎年1万円の利子を永久に受け取ることができる永久債の価格は

1÷0.01=100(万円)

である。(いま手元に100万円あれば、将来とも利子率(年率) 1%で運用すれば毎年1万円の利子を永久に受け取ることができる、と考えてもよい。)

 ここでDを配当金と読みかえると、上の式は収益還元法による優先株の価格決定式となる。またDを期待企業業績(将来の期待される配当+ネットワースの増加分)、rを期待市場利子率と読みかえると、Pは株価をあらわす概念となる。昨年1年間で日経平均が40%以上も上昇したのは分子であるD(期待企業業績)が大きく増加した為だ。一方今年に入ってからの株価の下落は分母であるr(期待市場利子率)の上昇が理由である。景気が良くなりDが2倍になったとしても、rが2倍をこえて増加すれば株価は下ってしまうのだ。まさか金利が突然何倍にもなることはない、と思う人もいるかもしれないが、これがゼロ金利政策のツケの怖さだ。0.1%の金利が0.3%になるだろうと思うだけで期待金利は3倍になった事になる。ゼロ金利からの出発の場合はこの程度の金利上昇は初回の利上げの範囲内にすぎないが、その場合期待企業業績も3倍以上に増加しない限り、株価は下落してしまうのだ。

 日銀のゼロ金利政策解除と福井日銀総裁の村上ファンド解約との関連を立証することは難しいだろう。だが少なくとも、どんなファイナンスの教科書にも出ている

P=D/r

という式から「日銀がゼロ金利政策を解除すれば株価は大きく下げる」という帰結が生じる事を福井総裁が熟知していたことだけは間違いないのである。

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