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2006年3月23日 (木)

逆イールドについてのバーナンキのコメント

 3月22日のブルームバーグがキャロリン・ボームによる「米連邦準備制度理事会(FRB)議長、利回り曲線に2つのシナリオ」と題する興味深い記事を配信しているので紹介します。その骨子は以下の三点。

(1)バーナンキがニューヨークのエコノミック・クラブで20日行った講演の中でイールド・カーブについてコメントしたが、これを報じたワシントン・ポストの見出しは「一段の利上げについては不透明」、ブルームバーグ・ニュースは「バーナンキFRB議長は利上げ継続を示唆」、ビジネス・ウィークは「追加利上げについてのヒントはほとんどなかった」、ロサンゼルス・タイムズは「議長は追加利上げ見通しをあらためて確認」と、同じ講演会での発言の解釈がバラバラであった。その理由は発言内容が「かなり学問的」すぎてわかりにくかった為で、明確な意思伝達と透明性を高く評価するバーナンキ自身はこれらの記事を読んで愕然としたことだろう。

(2)バーナンキはイールドカーブが現在のフラットな形状に至った理由について2つのシナリオを示し、長期金利が利上げに反応して上昇しない理由がどちらであるかによって金融政策の方向が「決定的に左右される」と述べた。 バーナンキの第1のシナリオは「長期金利の低さの理由が期間プレミアム(長期資産保有のリスクに対して投資家が求める上乗せ利回り)縮小である場合は、その影響は金融面で景気刺激的であり、一段の引き締めの必要性を示唆する」、第2のシナリオは「長期金利が現在または予想される今後の景気の状態を反映している場合は、完全雇用を達成させる「自然金利」が低下しているのだからその対策はFF金利を低下させてイールドカーブをスティープ化させることだ」というものだ。 だが筆者(キャロリン・ボーム)の見解は、フラットないし逆イールドは単に貨し手と借り手が市場で決める金利(Snape注:中長期債券利回りやスワップのこと)に対して、中央銀行が決める金利(同:FFのこと)が高過ぎることを示唆するにすぎない、というもの。

(3)景気の先行きを示唆する指標はイールドカーブだけではない。米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表する景気先行指標総合指数(LEI)の半期ごとの変化(年率換算)は2003年7月の10.8%上昇をピークに鈍化し、現在のペースは2.9%上昇となっている。これは50年間の平均(2.7%)に近いから、今後アメリカの景気は上昇に転じるのではないか。

 ブルームバーグにしては骨のある読みごたえのある記事だ。特に(2)の末尾に紹介したキャロリン・ボームの見解には賛同できるが、さらに論点を整理したい学生諸君は2005年12月29日 付のブログ「イールド・カーブの金融論」を参照して見て下さい。  

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