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2005年11月25日 (金)

Once a dealer always a dealer

マ‐ケット・ディーラーなら誰でも知っているこの諺は、市場ビジネスを経験してそのルールを学んだ者はそれを生涯忘れない、という意味だ。ただこの諺は他人の資金を預って人の褌で相撲を取っているファンド・マネージャー系ディーラーよりも、自社の決算損益責任を預り、2‐way priceをQuoteしてマーケット・メークを行うトレジャリー系ディーラーにこそふさわしい。

では、ここで言うマーケットとはどんな世界で、マーケットのルールとはどんな事なのか。簡単に言うと成熟した自由なマーケットでは、経済学のテキストの中にしか存在しないと考えられている、誰も価格を支配できない「完全競争」や、Out of marketなプライスの持続を許さない「一物一価の法則」が実在していて実体験できる世界なのだ。もしもOut of marketなプライスがオファーされたとすると、狼の群れに放たれた兎のように同時裁定によって瞬時にして消滅し、持続的に存在し続けることはない。もし存在するように見えたら、それなりの理由が必ずある。狼の群れの中で生きている兎がいたら、それは煮ても焼いても食えない「わけあり」の毒兎なのだ。Once a dealerならこの事をよく知っているので、姉歯秀次建築士が設計したマンションを買うことはない。プライスがOut of marketだった筈だからである。就活中の三年次生諸君もマーケット・メカニズムを学んだ者として、四大新卒総合職に対する二十万円を超える初任給のオファーが意味するものをしっかり読み取れる学生であってほしいと思う次第である。

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2005年11月23日 (水)

長期金利に異変の兆し

★昨日(11月22日)のNY市場で米国の長期金利が急落した。公開されたFOMC議事録が利上げぺ‐ス抑制の可能性を示唆していた為だ。

★これに先立つ18日にECBトリシェ総裁は、ECB理事会が市場介入金利(現在2%)を5年ぶりに引上げてゆく決定を行ったことを明らかにした。

★日本では株価が上伸を続けているが、先週17日(木)以降株価上昇がJGB価格の下落を伴わなくなり、おそらく過去半年間ではじめて株価と債券価格が同時に上昇する現象が出始めている。特に中期債が買われており、イ‐ルドカーブがスティ‐プ化した。

こうした主要通貨の長期金利の変化は何を意味するのだろうか。もちろん日・米・欧の景気循環の時間差が基本的背景にあるが、実際に3通貨間の長期金利差に変化の兆しが出てくるようなら中・長期ポートは早目の対応が必要だ。日本を軸に考えて見ると、長期金利は間違いなく上昇に向かう。昨日私の「証券論」の講義に特別ゲストとして招いた某証券会社の責任者は、「これからは絶対に固定利付債を買ってはいけない」と断言した。先週後半から始まった円のイ‐ルドカーブの変化を観察すると期近が特にシャープになっていて、引き絞った弓の弦のように今にも上に弾け跳びそうな緊張感を漂わせている。市場が量的緩和の解除を催促しはじめているのだ。このブログで何度も指摘したように、今年夏場以降のイ‐ルドカーブの急速なフラット化はFixed IncomeからEquityへの資金シフトから起きた。長期債の売りが津波のように中期ゾーンに押し寄せ、債券価格主導で長期金利上昇とフラット化が起ったのだが、これからは債券価格ではなく短期金利主導で、短期から中長期に向かって金利上昇が波及しつつイ‐ルドカーブが全体的にフラット化して行く展開が予想される。

そうなると、まず対米金利差の縮小を視野に入れなければならなくなる。円安の持続性に限界が見えてきそうだ。次にわが国の企業業績は、負債比率が高いところほど有利子負債コスト負担が増加して優勝劣敗がはっきりしてくる。J―Reitも現在の平均利回りが2%弱と見られることから、金利上昇下では全体として苦しい。銘柄間格差が一気に拡大して淘汰が進むと見られる。

来年もまた果報を寝て待っていられるようにする為には、12月がポート再編の正念場になりそうだ。

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2005年11月15日 (火)

小泉首相も「抵抗勢力」

昨日に続いて本日(11月14日)も債券価格が急騰している。JGB10年物が1.49%と久しぶりに1.5%を割りこみ、1%に迫っていた5年物が0.82%、6年物も1%割れと、激しい価格上昇である(前場終了時)。量的緩和終了の地ならしに入りたい日銀を小泉首相を中心とする政府側が強く牽制したためだ。

通貨の番人である中央銀行と選挙で選ばれる政府は元々呉越同舟だが、日本ではデフレが長かった為にこれまで同一歩調を取らざるを得なかった。ここへ来て久しぶりに呉越同舟が表面化したが、これがむしろ本来の姿である。ただ、国内面(景気のサイクル)、国際面(外圧)いずれから見ても日銀の政策転換は時間の問題であり、FRBなら既に2回は利上げをしている環境だ。この問題については小泉首相のほうが産業利権を代弁する「抵抗勢力」であると言える。「踊り場脱却」で衆議院選挙に大勝したあとは、金融という麻酔薬を使って破綻した財政の切開手術を敢行しようとしている。マネタリストもケインジアンもびっくりの、前代未聞のねじれたポリシー・ミックスなのだ。民間セクターをもう一度借金漬けにして財政の辻褄を合わせるのだから、官製インフレという重い副作用が懸念される。ボルカーもグリーンスパンもいなかった日本の中央銀行のボイスの弱さが改めて露呈しそうだ。そうなると長期ポートでは円債は売り。ここへ来ての債券価格急騰は、あとから振り返ると最後の売り場だったということになりそうである。

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2005年11月 9日 (水)

食べきれない非常食

村上ファンドに関する11月7日付日経新聞朝刊掲載の、三宅伸吾編集委員による「経営の視点」というコラムの中に「・・・内部留保は・・・『食べきれない非常食』」とあるのを見て、なるほど、と思った。村上ファンドはこれを吐き出せと迫るわけだが、考えてみると食べきれない非常食は至るところにあふれている。高齢者世帯の資産がその典型だ。老後の生活資金であるから余裕は必要だが、結局食べきれないことも事実だろう。答の一つがリバース・モーゲージだ。一時ほど騒がれなくなったが、今後団塊世代の引退に伴って年金改革が進まざるを得ないから、もっと定着して行くのではないだろうか。ブームの南ア・ランド債も、リバース・モーゲージの感覚でなら買えるかもしれない。デフォルト・リスクを格付で見ておけば、あとはランド対円の為替リスクだけであるから、利率さえ十分高ければ最終的に減価しても構わないという見方ができる。高金利のエキゾチック債は意外に高齢者向きの商品なのかもしれない。

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2005年11月 4日 (金)

新型個人向け国債が面白くなりそうだ

来年(2006年)1月に固定金利型(5年物)新型個人向け国債の第一回債が発行される。利率はJGB(5年)マイナス0.05%で、これまでは大した需要が見込めなかったが、ここへ来て状況が一変した。

今週にはいって債券からEquityへの資金のシフトが一段と加速し、本日(11月4日、午後2時30分現在)日経平均は14,000円を超え、JGBは10年物が1.6%台、さらに5年物が0.98%と、1%に迫っている。新型個人向け国債の利率が1%を超える可能性が高くなってきたわけで、これからも中期ゾーンは売られやすいだろうからイールド・カーブのフラット化も更に進みそうだ。そうなると新型債の利率が現在の変動金利債をかなり上回ることになる。変動金利型個人向け国債はゼロ金利時代におけるぺイオフの受け皿として大ヒットしたが、日銀の量的緩和終了宣言がカウント・ダウンの段階に入ると共に早くも使命を終えようとしているのだ。投資家のポート戦略の次のキー・ポイントはEquityからのExitと、Fixed Incomeの組立てになるだろうと考えている。

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2005年11月 3日 (木)

今週のメニュー

今週証券各社さんからお勧めのあったメニューは、

(1)毎月配分型ソブリン外債ファンド。どこでもやっているおなじみの定番商品だが、ユーロの比重が高いファンドが多く、140円台の為替だからもう八合目まで来ている感じだ。

(2)IPO(SMCO)のブック・ビルディング。プロスを読んでいないが、IPOなら何でも買える時期は過ぎているのでナカミ次第。

(3)長期ドル債の利率を低く押さえた分でドルのコール・オプションを買う仕組み物。ドルも八合目ぐらいまで来ていると思えばタイミングのよい商品ではあるが、オプション絡みだけに隠れ手数料が高そう。

(4)国際分散型エマージング・エクイティ・ファンド。これもプロスを読んでいないが、パンフレットでは為替ヘッジはしない模様。ベンチマークは円建てなので為替をどう考えるのか?エマージング通貨は長期的には株価上昇幅を超えて下落するリスクが大きい。現在の116円台の円安局面を考えると、為替のポリシーが重要なポイントだろう。手数料体系は極端なボリューム・ディスカウント方式で、個人投資家は買いにくい。

結局のところ自分の相場観で単純なリスクをアウトライトに取るのが一番良いようである。

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