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2005年9月20日 (火)

J-Reitは今すぐ損切りするべきか

日経平均がついに13,000円に乗せる一方でJ-Reitが失速した。このブログにも「J-Reitの見通し」「損切り」といったキーワード検索でのアクセスが増えている。心配になるのも無理はないが、損切りか、ナンピンか、何もしないかという3つの選択肢しかないのだから、ここは落ち着いて一度J-Reitのこれまでの歩みを総括してみてはどうだろうか。

過去J-Reit価格上昇の大きな波は2回あった。1回目は2004年3月近辺、2回目は今年(2005年)6月近辺である。先週からのJ-Reitの失速はこの2回目の波をほぼ帳消しにしたが、それ以前の水準から見れば長期的上昇トレンドが変るところまでは行っていない。

それではなぜJ-Reitは失速したのか。J-Reitの時価総額は今から3年前の2002年9月には5000億円程度であったが、ここ3年間で5倍に増加した。この期間、TOPIX全体に占めるJ-Reitの時価総額の比率も約4倍に増加しているので、TOPIXの時価総額が殆ど増えない中でJ-Reitの時価総額が急増したことがわかる。J-Reitは性格上Fixed Incomeに近いため、低金利下でEquityから資金がシフトして来たのだ。高配当利回り株投信が人気を呼んだのも同じ理由である。

ところがここへ来て需給関係が若干変った。まず一つはこのブログで何度も取り上げている通り、今世界中でFixed IncomeからEquityへの資金シフトが起きており、もともとEquityとのトレード・オフが強かったJ-Reitは長期債利回りの上昇に連れて売られることになったのだ。加えて予想ベンチマーク金利がさらに上昇し、他の条件が不変なら、将来の配当をベンチマーク金利で割り引いた現在価値(=J-Reitの価格)が下がるのは当然である。もう一つはJ-Reitの供給増加だ。今から3年前の2002年9月末に上場されていたJ-Reitは6銘柄に過ぎなかったが、2003年に4銘柄、2004年に5銘柄、今年はこれまでに8銘柄が上場した。こうした需給関係の変化からJ-Reitが一気に失速したのである。

ではJ-Reitに3回目の波は来るのだろうか。J-Reitは収益をキャッシュ・フローに依存しているためにFixed Incomeとしての性格が強い。だからEquityの上昇が続き、日銀の量的緩和終結宣言が行われて長期債利回りが本格的上昇に転じればJ-Reitの3回目の波は期待できない。投資家としてはJ-Reitの原点に立ち返り、Fixed Incomeとしての利回りをより重視したポートフォリオの組替えを検討する必要があろう。今後の長期債利回りの水準とリスク・プレミアムがどのくらいになるのか、銘柄ごとに試算してみれば下値のメドの見当がつく。あとは持ち値との関連になるので、Equity全体のポートに利が乗っていればナンピンもよし、また持ち値に余裕がなければ自分の損切り基準を素直に適用して一たんキャッシュ化し、長期債の利回りを睨みながらFixed Incomeのポートとして買い戻しのチャンスを窺ってもよいのではないかと考えている。

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