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2005年8月11日 (木)

株価の上昇は「まだ」か、「もう」か?

今日、株価と長期金利が共に続伸した。日経平均は4年ぶりの12,200円台、10年物国債の利回りは1.5%に迫った。イールドのフラットも更に進行し、7年物が1%を超えた。「まだ」は「もう」、「もう」は「まだ」なり、というマーケットのことわざがある。以前にこのブログでも「デイ・トレードはなぜロスばかり?」というタイトルで紹介したことがある。今回の株価と金利の上昇は「まだ」なのか、それとも「もう」なのだろうか。結論から言えば株価と長期金利の上昇は今始まったばかりで、やっと新しい中期的変動レンジの下限に到達したに過ぎないと考えるべきだ。

株価には先見性があると言われるが、過去4年間に限っては実体経済の後を追ってきた。その理由はニつある。一つは時価会計の導入に伴う企業と金融機関の株式持合いの解消から来る供給圧力の増加、いま一つは資産デフレが長引いたために東証最大のプレーヤーである外国投資家の腰が引けていたことだ。ところが株式持合いの解消は既に峠を越したと見られる上に、M&A対策としてのMBOやホワイト・ナイトからの支援の手段として、株式の持合いが新たな財務ストラテジーとして復活してきた。ライブドア/フジテレビ抗争の決着が株式の持ち合いであったことは象徴的な出来事だ。また資産デフレについては、東京の路線価がついに上昇に転じたことが示す通り、ようやく長いトンネルを抜け出したと見られ、これが外国投資家の安心感を倍加させた。このことは、今日の株価急伸の中で買われたのが収益をキャッシュフローに依存するJ-Reitではなく、収益がキャピタルゲインに直接リンクしている大手不動産会社の株であったことからも見て取れる。つまるところ、株価を縛っていた2本の鎖が今ようやく解けたのである。

またこのブログで何回も指摘してきたように、今回の株価の上昇には債券から株式への資金のシフトがある。10年物国債の利回りは、1998年第1四半期に2%を割りこんで以来1.5%を中心として小幅な変動に終始してきた。その最大の理由は、我が国の政府として金融機関に対して不良債権償却損の原資を造出させる必要があったこと(金融機関への実質的収益補給)、また公債費を押さえつつ大量の国債の消化を円滑に進めるために国債の利回りを低く押さえておく必要があったことである。ところが、後者の事情は変わりようがないものの、前者の事情は今大きく変わった。金融機関の不良債権償却処理がようやく終了し、メガバンクの再編成が整ったため、もはや政府が金融機関の業務純益を支援する必要はなくなった。金融機関にしてみれば、これまで何とか経営を支え、赤字下での巨額のシステム投資の原資となっていた国債購入によるトレジャリー収益が危うくなったわけで、日銀の量的緩和放棄宣言がカウント・ダウンの段階に入ってきたため、今後「勝ち逃げ」狙いの売りがパニック化する可能性を否定できない。つまり債券からの資金の脱出も始まったばかりなのだ。

いま中期ポートのEquity比率を引き上げないでいることは「不作為の罪」を犯すことになる、と感じている。

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