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2005年8月16日 (火)

第三次オイルショックは来るのか

原油価格(WTI)が70ドルに迫る勢いで高騰しているが、第三次オイルショックは来るのだろうか。

1970年代、世界はオイルショックを二回経験した。第一次オイルショックは1973年10月に勃発した第四次中東戦争が契機となり、湾岸産油6カ国が原油生産の削減、イスラエル支援国への原油の禁輸と原油価格の引き上げを決定したものだ。この時原油価格はドルベースで約三倍になり、日本経済は大きなショックを受けた。第二次オイルショックは1978年のイラン革命の影響で原油の生産が減少し、1979年より原油価格がドルベースで約15%値上げされたものだ。この時にはエネルギーの原油依存度低下も含めてある程度免疫が出来ていた事もあり、日本経済は第一次オイルショックよりも早く立ち直ることが出来た。今回はどうなるのだろうか。

今回と前二回のオイルショックの大きな相違点は、前二回はいずれも国際紛争や革命という経済外的要因による供給サイドのネックから生じたものであったのに対して、今回の原油価格高騰には中国・米国を中心とする世界的な好況という、需要サイドの要因が強く働いていることである。この違いが原油価格の動きに大きな影響を与える。つまり前二回のオイルショックは経済外的要因による供給サイドの隘路に起因したものであった為に価格が均衡破壊的に動いたが、今回の需要サイドからの逼迫要因は経済内部の要因であるから、投機行動によって価格変動が行き過ぎている面も含めて長期的には景気循環にフォローして均衡回復的に動く性格のものであり、いずれ落ち着く(即ち原油価格が下落するかインフレにより名目経済成長率が原油価格に追いついて行く)と考えられる。

それでは経済的要因としては今回の原油価格高騰はどの程度のインパクトがあるのだろうか。6月30日のブログでも紹介したが、ドイツ銀行の週間商品リポートによると現在の原油価格は1979年当時と同一の水準であるとのことだ。1979年当時のWTIは20ドル前後であったから、原油価格は25年間かかって約三倍に値上がりしたことになる。たしかに2004年前半のWTIが35ドルを中心に変動していたことを考えると最近1年間の価格上昇は急ではあるが、第1次オイルショック当時はほとんど一瞬の間に原油価格が三倍に上昇したことを考えると、今回の原油価格によって経済が深刻なショックを受けるとは考え難い。また1979年当時のわが国のグロスGDPは約250兆円であり、現在の丁度半分にすぎず、加えてその影響の一部は円の長期的な対ドル上昇トレンドによって相殺されて来たことを考えても、今回の原油価格の上昇は流行語で言うならば「想定内」であると見てよかろう。

以上の通り、今回の原油価格上昇の均衡回復的性格と、経済に与える長期的インパクトがそれほど大きくはないことを考えれば、第三次オイルショックを心配する必要はない、と思う。

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