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2005年8月30日 (火)

米ドル金利がいよいよ逆イールドへ?

8月29日付のFT(ファイナンシャル・タイムズ)が、ドル金利が4年ぶりに逆イールドカーブになりそうだと伝えている。記事によると、1年前には1.8%あったTNの2年/10年のスプレッドが現在は0.12%(4.06-4.18)まで縮小しており、英国(ギルツ)は既に逆イールドに転じているが、米・英とも今回の逆イールド化はこれまでとは異なり、それほど景気後退懸念を伴っていないようだ、とコメントしている。

FTは触れていないが、このブログで過去何回も指摘したようにドイツ(ブンズ)でも日本(JGB)でもイールドカーブのフラット化が進んで来ており、こうした動きは世界中の資金がFixed IncomeからEquityにシフトする流れの中で、景気循環を反映する短期金利サイドからではなく、中・長期債券価格サイドから発生していることに注意すべきだ。だからこそ今回の逆イールド化は景気後退懸念を伴っていないわけで、景気循環に対して中立的な現象なのだ。そして同じ理由から今回の原油価格の上昇はインフレ懸念による債券価格の下落にも結びついていない。それどころか昨日(8月29日)の市場で見られたように、Equityの調整局面では原油価格の上昇がむしろデフレ懸念を連想させ、債券価格の上昇(長期金利の下落)をもたらした。Conventional Wisdomが当てはまらなくなっているのだ。そう言えばやはり先週のFTがコメントしていたが(日付は失念)、原油価格上昇に伴って外貨準備が増加した産油国が米国国債を買っているとの事だ。

とは言え、こうした今回の原油価格と債券価格の関係には度胸試しのチキン・レースのような面もある。どこかで突然Conventional Wisdomに回帰する局面があるのかもしれない。その兆候が現われた時には、Fixed IncomeからEquityへのグローバルな資金シフトが持続するのかどうかもう一度確認する必要があるが、現段階ではまだまだ中・長期的にEquityのポートを増やしておきたい状況が続くだろうと考えている。

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2005年8月29日 (月)

EU統合の行方(その1)

早いもので、1999年1月に欧州統一通貨ユーロが発足してから、間もなく7年が経過する。この間対ドルで大きなV字型の下落-上昇カーブを描いたユーロは今後いかなる個性を発揮し、われわれ個人投資家はユーロの長期的なポ-トフォリオをどのような視点に注目して構築して行くべきなのだろうか。このブログではこれから数回にわたり、さまざまな角度からこの問題をとりあげて考えてみたい。キー・コンセプトは「欧州の同質性(求心力)と異質性(遠心力)の緊張関係」である。具体的には、まず手始めにドイツとフランスとの関係を検討し、次いで欧州大陸と英国との関係、さらに拡大EUとイスラム圏の問題、拡大ユーロ圏の問題などを順次取り上げて行く予定である。

去る8月10日付の朝日新聞朝刊に、ユーロに関する特集記事が掲載されていた。記事の要旨は、ドイツが既に批准を可決したEU憲法条約をフランス・オランダが国民投票で相次いで否決したことが示すように、これまで連携して欧州統合を推進してきたドイツとフランスの間に溝が出来ていて、そのためEU統合の将来と基軸通貨としてのユーロの信頼性に翳りが生じ、ユーロ相場が対ドルで下落に転じた、というものだ。実際にはEUの経済統合はEU憲法の有無とは関係なく進行しており、経済統合の強化・拡大を進める上での経済面での(財政を中心とする)問題点も既に明らかになっている。また基軸通貨としての信頼性と通貨価値の変動は、ユーロに限らず決して単純な因果関係で結ばれているわけではないから、朝日新聞の記事はいかにも短絡的にすぎる。だが、ドイツとフランスはこのまま袂を分つのか、それとも引続き連携・協調してEU統合の拡大・強化を目指すのか。これが今後のEU統合の方向性とユーロの行方を大きく左右するポイントの一つであることは間違いない。

さて、ユーロの長期的ポ-トを考える上では、その通貨としての長期的・構造的特徴をよく理解しておく必要がある。その為には単なる通貨論の視角だけでは不充分であり、欧州の政治・経済・社会・宗教・文化など広汎な分野をカバーする学際的なアプローチが必要なのだが、うっかりすると朝日新聞のように多分野にわたる断片的な事実の羅列と、それらの論証を欠いた「こじつけ」や後講釈に終わってしまうリスクがある。テ-マが学際的であればあるほど、しっかりした座標軸が必要なのだ。そしてユーロの特性を理解するためには、「求心力」と「遠心力」という座標軸が有効である。太陽を巡る惑星のように欧州には求心力と遠心力とが共に働いており、政治、外交、経済、産業、文化、宗教などさまざまな分野ごとに統合へ向かおうとする力(求心力)と相互に離反しようとする力(遠心力)のバランスが各国の軌道を決めている。バランスが変われば軌道も変わる。こうしたバランスの変化は上述のさまざまな分野で絶え間なく起き、相互に影響し合っているのだ。

第二次世界大戦後欧州統合に向かった欧州の求心力の源について教科書などに採用されている通説は、まず紀元4世紀以降欧州が共有してきた三つの共通項(ヘレニズム、キリスト教、ゲルマン的社会構造)を、次に長年抗争・対立を続けてきたドイツとフランスとの第二次大戦後の和解・協調を挙げる。これだけの事であれば誰も特段の異存はないだろうが、このあと見て行くように欧州の三つの共通項は決してパラレルに並存しているのではなく、緊張関係の中で幾重にも重なり合う重層構造を形成しているのであり、ドイツとフランスとの関係も、両国共通の起源とされる紀元800年のカール(フランスではシャルルマ-ニュ)の戴冠以前から、こうした重層的構造の影響下にあったのだ。例えばヘレニズムの継承について見れば、ドイツ(及びイタリ-)はグレコ・ロマーノ圏としてヘレニズムを直接受容しているが、フランスはガロ・ロマーノ圏としてガリア=ケルトの影響を残す。またゲルマン的な分権的社会構造はドイツ圏(=旧神聖ローマ帝国圏)においては今でも顕著だが、フランスでは逆に中世以降中央集権化が進み、官僚組織に支えられた統一国民国家への道を歩んできた。さらにドイツとフランスとではキリスト教との関係もかなり異なる。そもそもフランスの中央集権化と官僚制を支えたのはクリュニー・シト-両修道会の教区制による自営農民(後に第三身分の源となる)の組織化であり、またローマ教皇庁との関係も、皇帝を互選して教皇から戴冠するドイツと、教皇庁のアビニョン移転を引き合いに出すまでもなく教皇庁そのものをコントロールしたフランスとでは対照的である。また、宗教改革の影響もそれぞれ異なった結果に繋がって今日に至っている。ドイツではプロテスタント化が北から南に向かって進行したのに対し、フランスではユグノー戦争を機に王権が強化され、中央集権化が進む結果となったのだ。こうした独・仏関係史については本ブログの「その2」以降で必要に応じて詳しく扱うが、ここでは「EU統合の求心力の源泉が独仏の和解・協調にある」というだけでは、少なくともユーロのポート戦略を考える上ではいくら何でもシンプルすぎて役に立たないであろうという事を確認しておきたい。

それでは、ドイツとフランスはこのまま袂を分つのか、それとも引続き連携・協調してEU統合の拡大・強化を目指すのか。次回のブログ「その2」では、東部フランスのドイツ国境に隣接するアルザス地方の中心都市であり、ドイツとフランスとの和解・協調の象徴とされているストラスブールを手がかりとしてこの問題を具体的に掘り下げて行くこととする。(「その2」に続く)

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2005年8月22日 (月)

改憲とわが国の経済(その2)

(今週はストラスブールから出稿しています)

「その1」では、国家の安全保障には財政負担が伴うこと、従って日本が改憲を選択した場合は財政支出の固定化が一段と進み、償還原資のない国債の増発が不可避であることを明らかにした。今回は自前の安全保障体制の下で高い国富水準を享受しているスイスの事例を検討し、またわが国の財政負担増への対策について考えてみることとする。

スイスは多民族・多言語の小国である。にもかかわらずEUにもNATOにも加盟せず、独力で安全保障を確保し、経済の繁栄を享受しているのはなぜなのだろうか。その秘密は、「スイスのナカミはカラッポだ」ということである。今年三月、文化放送がライブドアからの敵対的買収への対抗手段として、優良子会社であるポニーキャニオンのフジテレビへの売却を検討したことがあった。自らの企業価値を低下させることによって相手方の買収意欲をそぐ、クラウン・ジュエルと呼ばれている手法である。スイスの安全保障はこのクラウン・ジュエル方式に似ている面がある。

スイスはもともと多民族・多言語であり、国民の地域コミュニティーへの帰属意識が極めて強い。歴史的には自営農民間の盟約がこうした地域ごとの結束の基礎を形成した。スイス人は自分の手が届き、お互いの顔が見える生活範囲を非常に大切にするため、共同組合が極めてさかんであり、1934年に設立されたWIRは現在多くの国・地域で採用されている地域通貨のモデルの一つとなっているほどである。逆に言えば、スイス人は手が届き顔が見えるコミュニティーの外側の世界にはあまり関心・執着を示さない。スイスの産業史を調べてみると、多くのスイスの企業がはじめから生産サイトの立地にこだわることなく多国籍化、というよりむしろ無国籍化を進めてきたことがわかる。その背景にはこうしたスイス人の生活観があるのだ。だからスイスに本社機能があったとしてもそのナカミはカラッポで、いつでもどこへでも移転して構わないのだ。アルプスの山国という地理的条件に加えて、国として守るべきものを最初から国内に保持しないという国民性が、スイスが永世中立国として独力の安全保障体制の下で平和の配当をフルに享受できている大きな理由の一つなのだ。

こうしたスイスの安全保障モデルをそのまま日本にあてはめるには当然大きな限界がある。山岳国家と海洋国家、少人口国家と多人口国家、多言語国家と単一言語国家。スイスと日本は、国土が小さいという共通点を除けば対照的な国であり、簡単に日本は東洋のスイスを目指せなどとはとても言えない。今後の日本がスイス・モデルから学ぶものがあるとすれば、それは地域コミュニティ-の重視と、極端なまでの産業の国際化(=無国籍化)であろうが、これらの点についての詳しい議論は別の機会に譲り、話をわが国の財政問題に進めたい。

スイス・モデルに限界があり、わが国の改憲に伴う財政負担増が避けられないとすれば、どうすればよいのであろうか。結論から述べるとDebt-Equity Conversionがヒントを与えてくれるのではないかと考える。Debt-Equity Conversionとは経営危機に瀕する企業を債権者が救済する手段の一つであり、債務者に対する債権を株式に転換することをいう。債務者は債務返済を免除され、代りに新しい株主を受け入れることになる。企業体は基本的には営業活動の中から返済原資が生まれる資産(典型は売掛金、棚卸資産、生産設備など)の取得のための資金を負債で調達し、経営上必要ではあるが通常の営業活動の中からは返済原資が生まれない資産や経営自体に不可避的に付随するリスク(典型は製薬会社のR&D)には資本を充てる。これを国家財政に当てはめて見ると、通常の一般歳入からは返済原資が生まれない国防費は返済義務のない資本金で調達するべきだということになる。もちろん国家は株式会社ではないから資本調達を行うことはできないが、きわめて類似した方法として永久債(Perpetual Band)の発行がある。変動利付債またはインフレ連動債とし、かつ相続税対象資産に含めないことにすれば、多大な需要が期待できる。さらに期限付、無利息かつ相続税対象外の新種国債発行を併用すれば、わが国の財政赤字問題の抜本的な解決に必要な長い年月を乗りきる有効な手段の一つとなるのではないか。

わが国の長期金利が上昇基調に転じ、イールド・カーブのフラット化が進行してきた為、国にとっても個人投資家にとっても大ヒット商品となった個人向国債の魅力が薄れた。これに代る商品開発が急がれる中で、上記のような新種国債の検討が待たれるところである。

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2005年8月19日 (金)

改憲とわが国の経済(その1)

憲法改正がわが国の経済に与える長期的・構造的影響について考えてみたい。

去る8月1日、自民党の新憲法起草委員会が憲法改正草案(一次案)を発表した。焦点の安全保障では第九条を改正し、自衛軍の保持や国際平和活動への積極的な寄与を明記すると同時に自衛軍の防衛出動や海外派遣などについて国会承認(シビリアンコントロール)を義務付けた。いよいよここから広汎な議論が盛り上るかと思っていたら、その後の衆議院の「郵政解散」に続く刺客だ、新党だという騒ぎの中ですっかり忘れられてしまったのは残念な事だ。さらに、改憲がわが国の経済にとって長期的・構造的にどんな意味を持つのかという論点がどの政党からも全くと言っていいほど問題提起されていないのはもっと残念な事である。改憲はいずれ国論を二分する議論に至る問題であり、その際には改憲の経済的意味についてもきちんと議論を尽す必要があるところから、そのための基本的な考え方を次の通り整理してみた。

7月8日付「テロと戦争の経済学」でも指摘した通り、国家の安全保障は財政負担を伴う。一般公共事業の場合は、財政支出は(プロジェクトごとに是非の議論はあるが)社会資本(道路、ダム、空港など)と雇用を創出する。ところが同じ財政支出でも国防費は在庫や設備の廃棄と同様、経済的にはトータル・ロスとして消え失せてしまうのだ。それでも平時の国防費は財源ともども国家予算の統制を受けているが、戦争となるとそうは行かなくなり、洋の東西を問わず戦費調達の為に巨額の公債が発行されてきた。近世以降の欧州でもアメリカでも、戦費調達の為の国境を超えた公債発行が国際資本市場の誕生を促した歴史がある。こうした巨額の戦時公債の償還は平時における財政収入だけでは到底困難だ。戦勝国にとっての償還原資は多く場合敗戦国から支払われる賠償金であったが、敗戦国には賠償金の支払いに加え点て公債償還負担が重くのしかかり、経済が危機に陥る事が多い。日本も日清戦争に際しては軍費を上回る賠償金を手にしたが、日露戦争では戦勝国であったにもかかわらず賠償を受けられず、増税が政情不安をもたらした。第1次大戦後のドイツと第2次大戦後の日本では、戦時公債の償還はハイパーインフレによるしかなかった。

戦後の日本は東西冷戦構造の中で西側陣営に組み込まれ、米国の安全保障体制下で経済復興を遂げた。さらに日本は1960年代、2回にわたり米国に対して核武装の意思を表明したが米国はこれを拒否し、その代わりに日本に対して「核の傘」を供与した(8月2日付朝日新聞朝刊)。かくして日本は平時における国防費負担から免れ、今日の繁栄を築くことが出来たのだ。改憲はこうした経済的恩恵を放棄することを意味する。米国自身が中東地域におけるテロとの戦いに多大な財政負担を強いられているため、自陣営の安全保障体制の見直しを進めており、日本に対しても「自国の安全は自分で」というメッセージを付きつけている。改憲の議論はこうしたコンテクストの中に位置付けられるものであり、日本とって他の選択の余地は少ないように思われる。

では、既に財政危機にある日本にとって、改憲により更なる財政負担増が不可避であるとすれば、ハイパーインフレ以外にどんな選択肢が残されているのだろうか。これを次回のテーマとする。「改憲とわが国の経済(その2)」では、なぜスイスがEUにもNATOにも加盟することなく、永世中立国として自前の安全保障体制の下で高い国富水準を達成しているのか、こうしたスイス・モデルから日本が学ぶべきものがあるのかどうかについて検討し、また改憲に伴って今後避けられそうもないわが国の財政負担増への対策について考えてみる。

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2005年8月16日 (火)

第三次オイルショックは来るのか

原油価格(WTI)が70ドルに迫る勢いで高騰しているが、第三次オイルショックは来るのだろうか。

1970年代、世界はオイルショックを二回経験した。第一次オイルショックは1973年10月に勃発した第四次中東戦争が契機となり、湾岸産油6カ国が原油生産の削減、イスラエル支援国への原油の禁輸と原油価格の引き上げを決定したものだ。この時原油価格はドルベースで約三倍になり、日本経済は大きなショックを受けた。第二次オイルショックは1978年のイラン革命の影響で原油の生産が減少し、1979年より原油価格がドルベースで約15%値上げされたものだ。この時にはエネルギーの原油依存度低下も含めてある程度免疫が出来ていた事もあり、日本経済は第一次オイルショックよりも早く立ち直ることが出来た。今回はどうなるのだろうか。

今回と前二回のオイルショックの大きな相違点は、前二回はいずれも国際紛争や革命という経済外的要因による供給サイドのネックから生じたものであったのに対して、今回の原油価格高騰には中国・米国を中心とする世界的な好況という、需要サイドの要因が強く働いていることである。この違いが原油価格の動きに大きな影響を与える。つまり前二回のオイルショックは経済外的要因による供給サイドの隘路に起因したものであった為に価格が均衡破壊的に動いたが、今回の需要サイドからの逼迫要因は経済内部の要因であるから、投機行動によって価格変動が行き過ぎている面も含めて長期的には景気循環にフォローして均衡回復的に動く性格のものであり、いずれ落ち着く(即ち原油価格が下落するかインフレにより名目経済成長率が原油価格に追いついて行く)と考えられる。

それでは経済的要因としては今回の原油価格高騰はどの程度のインパクトがあるのだろうか。6月30日のブログでも紹介したが、ドイツ銀行の週間商品リポートによると現在の原油価格は1979年当時と同一の水準であるとのことだ。1979年当時のWTIは20ドル前後であったから、原油価格は25年間かかって約三倍に値上がりしたことになる。たしかに2004年前半のWTIが35ドルを中心に変動していたことを考えると最近1年間の価格上昇は急ではあるが、第1次オイルショック当時はほとんど一瞬の間に原油価格が三倍に上昇したことを考えると、今回の原油価格によって経済が深刻なショックを受けるとは考え難い。また1979年当時のわが国のグロスGDPは約250兆円であり、現在の丁度半分にすぎず、加えてその影響の一部は円の長期的な対ドル上昇トレンドによって相殺されて来たことを考えても、今回の原油価格の上昇は流行語で言うならば「想定内」であると見てよかろう。

以上の通り、今回の原油価格上昇の均衡回復的性格と、経済に与える長期的インパクトがそれほど大きくはないことを考えれば、第三次オイルショックを心配する必要はない、と思う。

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2005年8月11日 (木)

株価の上昇は「まだ」か、「もう」か?

今日、株価と長期金利が共に続伸した。日経平均は4年ぶりの12,200円台、10年物国債の利回りは1.5%に迫った。イールドのフラットも更に進行し、7年物が1%を超えた。「まだ」は「もう」、「もう」は「まだ」なり、というマーケットのことわざがある。以前にこのブログでも「デイ・トレードはなぜロスばかり?」というタイトルで紹介したことがある。今回の株価と金利の上昇は「まだ」なのか、それとも「もう」なのだろうか。結論から言えば株価と長期金利の上昇は今始まったばかりで、やっと新しい中期的変動レンジの下限に到達したに過ぎないと考えるべきだ。

株価には先見性があると言われるが、過去4年間に限っては実体経済の後を追ってきた。その理由はニつある。一つは時価会計の導入に伴う企業と金融機関の株式持合いの解消から来る供給圧力の増加、いま一つは資産デフレが長引いたために東証最大のプレーヤーである外国投資家の腰が引けていたことだ。ところが株式持合いの解消は既に峠を越したと見られる上に、M&A対策としてのMBOやホワイト・ナイトからの支援の手段として、株式の持合いが新たな財務ストラテジーとして復活してきた。ライブドア/フジテレビ抗争の決着が株式の持ち合いであったことは象徴的な出来事だ。また資産デフレについては、東京の路線価がついに上昇に転じたことが示す通り、ようやく長いトンネルを抜け出したと見られ、これが外国投資家の安心感を倍加させた。このことは、今日の株価急伸の中で買われたのが収益をキャッシュフローに依存するJ-Reitではなく、収益がキャピタルゲインに直接リンクしている大手不動産会社の株であったことからも見て取れる。つまるところ、株価を縛っていた2本の鎖が今ようやく解けたのである。

またこのブログで何回も指摘してきたように、今回の株価の上昇には債券から株式への資金のシフトがある。10年物国債の利回りは、1998年第1四半期に2%を割りこんで以来1.5%を中心として小幅な変動に終始してきた。その最大の理由は、我が国の政府として金融機関に対して不良債権償却損の原資を造出させる必要があったこと(金融機関への実質的収益補給)、また公債費を押さえつつ大量の国債の消化を円滑に進めるために国債の利回りを低く押さえておく必要があったことである。ところが、後者の事情は変わりようがないものの、前者の事情は今大きく変わった。金融機関の不良債権償却処理がようやく終了し、メガバンクの再編成が整ったため、もはや政府が金融機関の業務純益を支援する必要はなくなった。金融機関にしてみれば、これまで何とか経営を支え、赤字下での巨額のシステム投資の原資となっていた国債購入によるトレジャリー収益が危うくなったわけで、日銀の量的緩和放棄宣言がカウント・ダウンの段階に入ってきたため、今後「勝ち逃げ」狙いの売りがパニック化する可能性を否定できない。つまり債券からの資金の脱出も始まったばかりなのだ。

いま中期ポートのEquity比率を引き上げないでいることは「不作為の罪」を犯すことになる、と感じている。

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2005年8月 7日 (日)

夏休み番外編・ご近所の有名人

番外編として、ご近所でよく見かける有名人をご紹介します。

プロゴルファーの中野晶さん。ツアーに使っている大きなワゴンが金曜日にガレージに戻っていたら予選落ちです。

元経団連の今井会長。会長時代は門前に設置されたポリスボックスに24時間警官が常駐していましたが、退任当日撤去されました。道路公団民営化の審議会の座長をされていた頃はテレビの中継車や新聞記者が夜中まで道にあふれていました。最近は早朝からゴルフに出られることが多いようです。

元水泳選手の長崎宏子さん。数年前までは小さいお子さん二人を「引率する」という感じで元気に大きな声で西友でよく買い物をしておられました。

歌手の麻丘めぐみさん。やはり西友で買い物をする姿をよくみかけました。深い帽子にサングラスなので、かえって目立っていました。(誰も追いまわしてサインをねだったりはしないと思うのですが・・・・・・)

女優の鷲尾いさ子さん。神戸家にパンを買いにこられます。

武富士の武井・元会長。ご本人を見かけたことはありませんが、西友の裏手の高い塀に囲まれた大きな森がご自宅で、門前では武富士の若い社員が二人ペアで1日中石を蹴飛ばしながら番をしています。

そのほか元ご近所の住人で引っ越して行かれたのが俳優の米倉斎加年さん、シンガーソングライターの小室等さん、ドラえもんの声の大山のぶ代さんとご主人の砂川啓介さんなど。

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2005年8月 3日 (水)

今回の金利上昇と株価

今回の金利上昇は、株価上昇に結びつく点が大きな特徴だ。

順イールドカーブがフラット化して行くパターンには二通りある。1つは短期金利が手前から持ち上がって中期⇒長期へと金利を押し上げて行く、遊園地のプールなどによくある人工波型。この場合はインフレ圧力が高まったり、通貨に売り圧力がかかるなど、国内経済がかなり深刻な問題を抱えており、資本の対外流出が起きていることが多いため、インフレ対策・為替対策両面から政策的にマネーサプライが圧縮され、短期金利が急騰する。途上国の経済危機に際してよく見られるパターンだ。短期金利主導で順イールドカーブのフラット化が起るのである。逆イールドまで行くことも珍しくない。だから人工波型のフラット化が起きている場合には、株価は深い下落トレンドに沈みこむのが普通だ。

もう一つのパターンは、これとは逆に長期⇒中期へと金利が切り上ってイールドカーブがフラット化する津波型。これは短期金利が主導しているのではなく、債券が売られているために生じている、債券価格主導型のフラット化だ。今日本で起きているのはこのパターンである。国内経済が問題を抱えていて短期金利が上昇しているのではなく、逆に国内経済が好調であるために、債券から株式に資金がシフトし始めたのだ。

大手銀行の不良債権処理が終了し、日本型ユニバーサル・バンキングの形がようやく見えてきた。東京の路線価も13年ぶりに上昇に転じた。完全失業率は低位安定となり、大学新卒の採用は久方ぶりに昨年来はっきりと売り手市場に転換している。中期的ポートの重心を債券から株式に移すべき時が来たと言ってよいのではなかろうか。8月1日のブログで指摘したように信用スプレッドが縮小しているため、純資産倍率の低い銘柄やJ-Reitは、目先のアップダウンにとらわれずに下がったら仕込んでおくという方針で臨めば、3年程度のスパンでは果報を寝て待てるようになるだろう。

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2005年8月 1日 (月)

いよいよ金利上昇が始まった!

先ほど外出から帰って、今日はじめてJGB(日本の国債)のイ-ルドカーブをチェックしたのだが、その激変ぶりに驚いた。先週から兆しがあったが、長期から中期に向かって津波が押し寄せるような金利上昇だ。かねてこのブログで警告していたイールドカーブのフラット化が現実のものになったのだ。もう一つの今日の大事なニュースは、東京都の路線価がついに上昇に転じたことだ。いよいよ金利上昇が始まる。

ポートだが、まず信用スプレッドが日米とも縮小していることに注目したい。ナマ株なら純資産倍率が1以下の銘柄は「買い」だろう。J-Reitもこのところの下げがきつかったので、そろそろ買い時ではないか。円債は、中期を処分しそこなった人は金利上昇が急すぎるのでいったん戻りがあるだろうから、そこでうまく売り抜くのがポイントだろう。外債は円投も含めてかなり目標達成感が出てきていると思うので、いったんキャッシュ化して様子を見てもいいかもしれない。ここしばらくはマーケットから目を離せなくなった。

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銀座シグナスにて

先日銀座のジャズクラブ「シグナス」で知人のライブがあり、聞きに行った時の事。すぐ後ろの席にいた60才前後とおぼしき女性が連れの女性に話していた内容が耳にはいりました。金融ビジネスに進んだゼミの卒業生諸君の参考のために紹介します。

「N証券S支店と取引している。MRFに五百万円ほど預けてあり、その範囲で投資を行っている。自分は全くの素人で難しいことは何もわからないのだが、N証券の女性の担当者が熱心に電話をくれ、説明もわかりやすい。JーReitを勧められて買ったら値上がりしたので半分売った。またIPOの話をまめに持ってきてくれるので欠かさず申し込んでいる。抽選になるので当る、当らないはいろいろだ。当った時も怖いので上場初値で、長く持っても一週間以内に売ってしまうが、短期間で十万円単位の利益になり、孫に小遣いをはずんでやれるので嬉しい。損することもあるだろうが、、MRFの範囲内ならなくしてもいいと思っているので気楽だ。N証券の担当者はN大学の経済学部出身で、よく勉強していていろいろ教えてくれるので信用して取引をしている。」

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