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2005年7月23日 (土)

人民元の通貨バスケット制とは?

具体的な仕組みについて説明します。

これまでの人民元はドルに連動していましたが、発表によると今後は「通貨バスケット」に連動します。「通貨バスケット」とは、ピクニックのランチ・ボックスのようにいろいろな種類の食べ物(=通貨)が少しづつ入っている箱のようなものと考えてください。いままでは人民元の価値を表すバスケットにはドルという「おにぎり」しか入っていなかったのですが、これからは円やユーロなど、いろいろな「おかず」も入れることにしたわけです。有名な通貨バスケットの例としてはIMFが使用しているSDRや、現在のユーロの前身であったECU(エキュ)などがあります。

さて、今回の人民元のバスケットのナカミ(通貨の種類と構成比率)は中国が主要な貿易相手国ごとの貿易比率などを考えて決めたと言われていますが、公表はされていません。また中国はそのナカミを今後も自由に変更する可能性があるので、将来のバスケットの価値に継続性があるのかどうか、まだわかっていません。こうした前提条件付きで「通貨バスケット」の具体的な仕組みを以下に例示します。

新しい人民元の価値が、報道されているように1ドル=8.11元でスタートしたとします。計算をわかりやすくするためにこの逆数をとり、この人民元相場を100元=12.33ドルと表示します。また、今後人民元はドルに対して50%、円に対して30%、ユーロに対して20%の割合で連動することになったとします。さらに今の為替相場が1ドル=111円、1ユーロ=1.2ドルであるとします。この前提で新しい人民元の価値を計算してみましょう。

上の前提で計算すると、100人民元の価値は

12.33ドルの50%(=6.165ドル)
プラス
12.33ドルの30%(=3.699ドル)相当の円
プラス
12.33ドルの20%(=2.466ドル)相当のユーロ

ということになります。これを上記の円・ユーロの対ドル為替相場を使って書きかえると、100人民元の価値は

6.165ドル
プラス
410.59円(3.699ドルX111円)
プラス
2.055ユーロ(2.466ドル÷1.2ドル)

になります。この式が新しい人民元のバスケットです。つまり中国は100人民元の価値を

「6.165ドル+410.59円+2.055ユーロ」

であると決めた、ということを意味しています。そしてこれ以後、人民元の為替相場は円とユーロの対ドル為替相場の変動に応じて変動して行くことになります。(従ってバスケットに入っている通貨の比率も最初の比率から徐々に変化して行きます。)

例えば今仮にドル/円相場が1ドル=120円に変化したとします。(1ユーロ=1.2ドルは不変とします。)

そうすると100人民元の価値は

6.165ドル
プラス
3.422ドル(410.59円÷120)
プラス
2.466ドル(2.055ユーロX1.2)

となります。合計すると

100人民元=12.053ドル、逆数表示では

1ドル=8.297人民元

に変化したことになります。円がドルに対して下落したことを反映して人民元相場も下落したことがわかります。

今回の人民元バスケットの実際のナカミ(通貨の種類と構成比率)は公表されていませんが、中国の主要貿易相手国の比率を想定し、それらの通貨の対ドル・レートの変化を計算して、人民元の対ドル・レートの変動をコンピューターを使って1ヶ月程度シミュレーションしてみれば、人民元バスケットのナカミをかなり正確に推定することができます。ゼミ生の諸君は夏休みの研究課題としてトライしてみてはどうですか。但し人民元が本当にバスケットになったのだ、ということが前提になります。シミュレーションの結果「この前提が崩れている」という論証ができれば、これはこれで大変面白い(ショッキングな)結論になりますね……!

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